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廃兵院工房

おふらんすなど

2017年における戦史研究会リスト

■戦史研究会という大学サークルがある。その名の通り軍事や歴史を取り扱う団体だが、活動内容は各大毎に大きく異なる。ボードゲームを楽しむところもあれば、会員による研究発表を行うところもあり、またオリジナルの会報を頒布する団体もある。

■ふと思い立ち、自分が知る限りの戦史研究会をリストアップしてみた。 というのもこの4年間で多くの戦史研究会が新設された。惜しくも会員が集まらず産声を上げることなく流産した団体も含めれば、その数は20を超えている。今後、休会する団体や新規発足する団体もあるだろうが、その際比較や検証を行う上で一つの材料になれば良いと考え、本ページを記す

■以下、自分が把握している限りで、現在活動中の戦史研究会を創立年順に並べる。一人しか所属していない団体や長く活動が途絶えている団体は一覧から除いた。私のチェックミス不足で漏れている戦史研がある場合には、コメントなどでご指摘いただければ幸甚。団体名の横には、会報や機関紙の名前を付した。

 

東京大学戦史研究会(1982年発足。最古):『東京大学戦史研究会会報』

早稲田大学戦史研究会(1994年発足):『烽火』

法政大学戦史研究会(2007年発足):『法戦華』

立命館大学戦史研究会(2010年発足) 

東北大学戦史研究会(2013年発足):『युधेतिहाससूत्रं』(サンスクリット語で「戦史の本」)

中央大学戦記研究会(2013年発足):『白門戦記』 ※名称としては戦史研ではなく戦記研

明治大学戦史研究会(2014年発足):『紫紺』

同志社大学戦史研究会(2014年発足):『Go,go,go in peace』

福岡大学戦史研究会(2014年発足):『東風吹かば』

専修大学戦史研究会(2015年発足):『鳳誌』

日本大学戦史研究会(2015年発足):『羅針盤

近畿大学戦史研究会(2016年発足)

広島大学戦史研究会(2016年発足):『戦鯉』

京都大学戦史研究会(2016年発足)

関西学院大学戦史研究会(2016年発足):『戦月紀』

東京農業大学戦史研究会(2016年発足):『東農戦報』

立教大学戦史研究会(2016年発足)

上智大学戦史研究会(2016年発足)

東海大学戦史研究会(2016年発足)

 

※2000年代初頭に京都大学戦史研究会と同志社大学戦史研究会の存在が魚拓で確認されているが、現在の団体との間に連続性はない。

一橋大学戦史研究会がかつて発足していたと思われる痕跡を見掛けたが、その後の変遷は不明。

※2016年に戦史検定という団体が勉強会の目的で「関西太平洋戦史研究会」を設立したらしいが、本ページで取り扱う戦史研究会とは何の関係もない。

仏将軍アニメ視聴日誌 プレビュー

一時期精神が錯乱し、こんなものを作りかけていたらしい。

 

 

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[Maurice Gamelin]

仏陸軍将軍。第二次世界大戦初期におけるフランス陸軍総司令官。後世の評判があまりよくない。

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[Maxime Weygand]

仏陸軍将軍。Gamelinの元同僚であり上司。性格が悪い。

 

 

 

1939年某日、Paris 陸軍省……

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f:id:yamamotonohito:20161222025131p:plain ええと、ではウェイガン将軍、貴方の現役復帰願いについては受理しました。今後のご活躍に期待します……ところで、将軍はアニメーションをご覧になったことはありますか

f:id:yamamotonohito:20161222025127p:plain は?

f:id:yamamotonohito:20161222025127p:plain いや、この目で見たことはない。孫がアメリカ製のアニメーションの話をしているのは聞いたことはあるが、それがどうした

f:id:yamamotonohito:20161222025131p:plain 実は某国で作製されたそれを、我が国でも1クールのプロパガンダ映画として公開することになり、陸軍省からその検閲を依頼されておりまして

f:id:yamamotonohito:20161222025127p:plain はぁ、そうか(1クールってなんだよ……)

f:id:yamamotonohito:20161222025131p:plain それで、私もそのアニメーションとやらには詳しくないので、もしよければこの後の上映会に同席願えませんか

 

 

f:id:yamamotonohito:20161222025127p:plain ……

f:id:yamamotonohito:20161222025127p:plain いや、別に構わんけれども

 

f:id:yamamotonohito:20161222025131p:plain ありがたや。まったく、三軍の総司令官もこんなことをせにゃあならんのですから世知辛いものですわい

f:id:yamamotonohito:20161222025127p:plain ところでそのアニメーションの名前はなんていうのか

f:id:yamamotonohito:20161222025131p:plain 最後の……、確か、最後の魔女とかいうものだったような

f:id:yamamotonohito:20161222025131p:plain あいや違った。そうだ、「終末の魔女イゼッタ」でした、これは失敬

f:id:yamamotonohito:20161222025127p:plain イゼッタ、ねぇ。フランス人の名前じゃないなそりゃ

f:id:yamamotonohito:20161222025127p:plain 観る前に文句をつけて申し訳ないが、我が国で放映するならぜひ名前を変えるべきだよ、イヴォンヌとかにしたまえ。そういう悪い響きをしていると、国を憂う国士に劇場を焼き討ちされかねんよ。最近ほら、いろいろ危ないし

f:id:yamamotonohito:20161222025131p:plain えっ。貴殿だってベルギーのご出身じゃあありませんか

f:id:yamamotonohito:20161222025127p:plain んん”” 何か言ったか? 最近耳が遠くてな

f:id:yamamotonohito:20161222025131p:plain …………まぁ、観ましょう。はい

 

(キュルキュル)

(ガーッ ペッ)

 

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f:id:yamamotonohito:20161222025127p:plain なんかさっそく小汚いゲルマン語が目に入った気がするんだが、ワシの見間違いかね

f:id:yamamotonohito:20161222025131p:plain いや、ゲルマン系の国家が舞台なので間違いじゃあありませんよ

f:id:yamamotonohito:20161222025127p:plain ふざけるな。君はゲルマン人が我々をボッコボコにするアニメーションを座して観ろというのか。なぜ史実で散々負けたのにアニメでまで死体蹴りされなきゃあならんのだ。ワシは帰るぞ。そもそもお前があんな指揮をしていなければだな

f:id:yamamotonohito:20161222025131p:plain ちょ、ちょっと! そんなカッカしないで下さいよ!  違うんですって。舞台となる「エイルシュタット公国」はリヒテンシュタインを模した小国なんですが、この国がドイツに似せられた仮想国家と戦うんです。敵は我々じゃありません

f:id:yamamotonohito:20161222025127p:plain ほんとう?

f:id:yamamotonohito:20161222025131p:plain ほんとですほんと

f:id:yamamotonohito:20161222025127p:plain 分かった、続けたまえ(手をヒラヒラ)

 

(このあとひたすらオッサンがダグダする文章を書き連ねていたが、もちろんつづかない)

 

 

「イッター城の戦い」映画化について

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 第二次大戦においてアメリカ軍とドイツ軍が共闘した奇妙な戦闘、イッター城の戦いを題材とした「The Last Battle」の映画化が進行しつつある。昨年初頭に原作の著者がフェイスブックで映画化を報告し、海外映画情報サイトで少し触れられたきり全く音沙汰がないのでどうなったものかと心配していたが、ようやく着手され始めたらしい。今年1月に入って続報が報じられている。

 当初は2017年米国公開の予定だったが、2018年に先延ばしになった。制作会社はStudioCanal。微妙な方の潜水艦映画「U-571」を作った会社らしく、やや不安に襲われる。監督はPeter Landesman。昨年公開された「コンカッション」の監督であり、過去には金獅子賞を受賞している。まだ配役さえ発表されていないので、本当に完成まで辿り着けるのかどうか不明だが、日本公開も待ち望みたいところ。

 ところで一つ気になるのが舞台設定をどうするのかである。イッター城自体は現存しているが、現在は個人所有であるし所有者家族が自宅として利用しているため、とても撮影には利用できないと思われる。となると他の適当な城で代用するつもりなんだろうか。ともあれ、ガムランレイノーがドイツ製短機関銃を振りまわす描写をスクリーンで観られる日を期待期待。

 個人的な話で恐縮だが、昨年夏にイッター村を訪れ、イッター城の城主氏と話す機会があった。城主氏経由で貴重な写真も手に入れることが出来た。その辺の話をまとめて、どこかで頒布したいなぁなどと思っている。

 

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 ※昨年末に落札したイッター城を象ったメダル。1960年代頃、城がホテルとして運営されていた時代に結婚式が行われていたらしく、その際配布されたものではないかと推測。こういう記念品はオーストリアでは割とある文化なんだろうか。偶然だが私が初めてイッター村を訪れた日も、ちょうど城近くの教会で結婚式が行われていた。村民総出で祝うので、非常に活気に満ちた光景だった。

ジャップがアクションフランセーズの通販を利用した件について

 アクションフランセーズをご存知か。このページを読まれている方も歴史教科書で習っただろう、あのドレフィス事件を機に発足した組織である。仏現代史をほんの少しかじった人間としてはまぁ存在自体は知っていたのだが、昨年何気なくツイッターを開いていると、アクションフランセーズの公式アカウントを発見してしまった。それもフォロワー数が7000を超えているなかなかの大手アカウントである。すぐフォローしてウォッチを開始した。

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ツイッターアカウント)

 この組織の面白い点といえば、まず今のフランスでは相当珍しいだろう王政復古を主張していることだろう。ルイに繋がる名跡のブルボン家やコルシカ出身のボナパルトさんではなく、オルレアン家の家長を現正統な王として掲げている。同組織が発足した100年前でも王政復古は無理があると反発があったというのに、この現代に「国王陛下万歳」と真顔で唱えているのだ。面白いとしか言いようがない。

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オルレアン家現家長にしてパリ伯アンリ7世)

 調べてみると数十人でドラムを叩きながら、国王万歳と唱えつつパリ市内を行進する動画をYoutubeで発見した。構成員は我々が脳裏に浮かべるようなネオナチ崩れのスキンヘッド集団ではなく、年端もいかぬ少年少女から足取りのおぼつかない老人までいる。日本の極右団体に比べて、何気に年齢・性別が豊かであった。

 さて、アクションフランセーズをウォッチしている内に、同団体のグッズを通販で購入できることを知った。旗、Tシャツ、バッジ、ネクタイにZIPPOとなかなか種類豊富。加えてセンスが良い。同じく極右と目されるフランス国民戦線に比べて、グッズの質の点では、間違いなくアクションフランセーズが勝っていると感じた。

 となれば欲しくなるのがウォッチャーである。日本発送の可否を尋ねると、いくら待っても返信がない。仕方がないので代行業者を利用することにして注文発送を終えると、宛名を間違えるという大ポカをしてしまった。これについては完全に私が悪い。だが、いくら宛名の訂正依頼メールを出しても全く返信をしない、というのは無愛想極まるのではないか。おじさんは憤慨した。代行業者氏も困惑した。ジャップ相手だから舐めているのではないかとも疑った。

 とはいえ着くには着いたのである。配達会社のお兄さんと代行業者氏が奮闘してくれたらしい。日本に到着したのは、ちょうど昨日(2017/3/11)のことだった。嬉々として開封する。すると注文した9点の内の2品が欠けていることに気付いた(フルールドリスのネクタイピンとフルールドリスのバッジが失われてしまった)。……まぁ損失額は20ユーロぐらいだから、もう一々やり取りするのが面倒極まりないし、連絡しなくて良いかなぁという気になっている。この20ユーロは日本人からフランス王党派への寄付である。ぜひ王政復古を成就してほしい。極東の島国から祈っています。あっ、その前に取り合えず顧客対応を改善してください。本当に星1を連打したかった。

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(ネクタイとバッジが届きました)

 ところでアクションフランセーズにとって参考にすべき「王制国家」の一つとして、機関紙の中で日本が具体的に示唆されている。国民戦線のルペン党首(娘さんの方でなく親父さんの方)が訪日した際、一水会と共に靖国神社を参拝した話は割と有名だけれど、フランス極右連中の理想像が日本というのは面白いところではないだろうか。

モーリス・ガムランの回想録を追い求めて

第二次世界大戦で仏軍の総司令官を務めたモーリス・ガムラン(Maurice Gamelin)の名前は、一応本邦でも知られている。あまり良い評価ではないけれど。彼の名前がネットで引っ掛かるようになったキッカケは、やはりHeart of Iron辺りなんだろうか。どうも彼への評は手厳しい、というか怪しい文献をもとに語っているような感が否めない。ナポレオン一世が率いた時代と違って、1940年の戦争は彼一人で軍隊を動かせるものではなかったことを考慮して、もう少し真っ当な評をしてやりたいものとは個人的に思う。

さておき。敗戦の責任をとって軍籍を退いたガムランは、ヴィシー政権が成立すると「戦争への備えを怠った」という罪状で逮捕される。有名なリオム裁判の後に、彼は各地の収容所を転々とし、最終的に旧オーストリア(当時はドイツ領オストマルク)の北チロルに位置するイッター城に収容された。終戦直前には、武装親衛隊によって抹殺されかけるも、米軍と独国防軍の小部隊と共に抵抗してこれを撃退、無事祖国フランスへ凱旋する。そしてパリの自宅で引退生活を送ることになった彼は、回想録の執筆に挑んだ。これが全3巻で構成されるplon社発行の「Servir」である。

一昨年頃から読みたいと思って探していたものの、先日ある事実に気付いた。どうも仏語以外に伊語訳しか見当たらない。あまり本国での売れ行きが芳しくなかったためか、英訳版が出版されていない様子なのだ。ということで勿論、日本語訳もない。

……つい昨日まで私はそう考えていた。しかし事実は違った。ツイッターで「ガムランの自伝が読みたい、誰か訳してくれ」と意味もない愚痴を呟いていると、見知らぬ御仁が引用RTで「『フランス解放戦争史(著、柏木明)』の参考文献に、陸自が訳したガムランの自伝が載っていた」と知らせてくれたのである。まさか、と思って図書館へ走ってページを捲ると、確かに自衛隊幕僚監部の訳本として「Gamelin将軍回想録」なるものが挙げられている。「Servir」の訳本に違いあるまい。

しかし一般にはもちろん出回っていない。であるならば、と防衛省図書館に電話をかけて内部検索していただいたものの、申し訳なさそうに「検索に出ないですね、申し訳ない」と謝られてしまう。いったいどこにいったんだ。万事休す。コツコツ古本検索していくかと諦め顔をしていると、またツイッターに助けられた。相互フォローの某人曰く、靖国偕行文庫にあるとのこと。慌てて偕行文庫のHPで内部検索すると、確かにヒットした。「Gamelin将軍回想録・戦争の序曲時代 1930-1939.8」なるタイトルである。ようやく、ようやく拝める日が来るとは。明日早速靖国へ出かけようと思う。ということで各位、ガムランの回想録の訳本は靖国にあるぞ。一般も閲覧可だという。

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蔵書

以下は趣味で蒐集しているフランス史関係の書籍。本当は分類分けしようとしたものの、億劫になってしまった。勿論全部読みこんだわけもなく、積んでいるものも多い。積んだ本は良い味を出すんですよ。

 

『連合軍反撃せよ』J・H・モルダック

『剣の刃』シャルル・ド・ゴール

『職業軍の建設を』シャルル・ド・ゴール

『人間から人間へ』レオン・ブルム

『ドゴール大戦回顧録(1,4)』シャルル・ド・ゴール

『回顧録-侍従長の昭和史-』三谷隆信

「In The Thick Of The Fight」Paul Reynaud

「Prison Journal 1940-1945」Edouard Daladier

「Carnets de Captivite」Paul Reynaud

「Souvenirs Personnels」Marie-Agnes Cailliau de Gaulle

 

『ナポレオン大いに語る』フリードリヒ・ジーブルク

『怪帝ナポレオン三世鹿島茂

『リヨテ元帥伝』アンドレ・モーロワ

『ドレフィス家の一世紀』平野新介

『ジャン・ジョレス 1859-正義と平和を求めたフランスの社会主義者-』ヴァンサン・デュクレール

『大いなる失墜-蘇る悲劇の人ペタン元帥-』ジェール・ロワ

『ペタンはフランスを救ったのである』ジャック・イゾルニ

パリは燃えているか?(上,下)』ラピエール,コリンズ

『ドゴール-偉大さへの意思-』世界史リブレット 096

『ドゴール』アレクサンダー・ワース

ド・ゴール』P・M・ド・ラ・ゴルス

『臣下の大戦』足立邦夫

『現代史を支配する病人たち』P・アコス

「Petain」Bruce

「Petain's Crime」Paul Webster

「Petain」Benedicte Vergez-Chaignon

「Petain」Charles Williams

「Phillipe Petain」Andre Figueras

「Jean Borotra,the bounding Basque」John George Smyth

 

『近代フランスの歴史』谷川稔,渡部和行

『フランス現代史』渡邊啓貴

フランス史10講』柴田三千雄

フランス史(上,下)』アンドレ・モーロワ

フランス史研究入門』佐藤彰一

アンシャン・レジーム』ウィリアム・ドイル

『八月の砲声(上,下)』バーバラ・W・タックマン

戦間期国際政治史』斎藤孝

戦間期の思想家たち-レヴィ=ストロースブルトンバタイユ-』桜井哲夫

『フランス戦間期経済史研究』原輝史

『欧州の国際関係-フランス外交の死角から-』大井孝

『フランス第三共和制の興亡(1,2)』W.シャイラー

『フランス人とスペイン内戦』渡辺和行

 

『パリ、戦時下の風景』大崎正二

『奇妙な敗北-一九四〇年の証言-』マルク・ブロック

『脱出-1940夏・パリ-』ハンナ・ダイアモンド

『私は弾劾する』アンドレ・シモーヌ

『フランス敗れたり』アンドレ・モーロワ

『フランス再建』井出浅亀

『フランス・その後』井上勇

『欧州の七不思議』ジェール・ロマン

『現代フランス論』町田梓棲

マジノ線物語-フランス興亡100年-』栗栖弘臣

『西方電撃戦-フランス侵攻1940-』ジャン・ポール・パリュ

電撃戦という幻(上,下)』カール=ハインツ・フリーザ

『WW2 フランス軍用機入門』飯山幸伸

『第二次大戦のフランス軍艦』世界の艦船1985 No.346

『第二次大戦のフランス軍戦闘機エース』バリー・ケトリー

 

『ナチ占領下のフランス-沈黙・抵抗・協力-』渡辺和行

『ナチ占領下のパリ』長谷川公昭

ナチス・ドイツとフランス右翼-パリの週刊紙「ジュ・スイ・パルトゥ」によるコラボラシオン-』南祐三

『記憶の中のファシズム-「火の十字団」とフランス現代史-』剣持久木

『奇妙な廃墟フランスにおける反近代主義の系譜とコラボトゥール-』福田和也

『ヴィシー政府と「国民革命」』川上勉

『ヴィシー時代のフランス-対独協力と国民革命-』ロバート・O・パクストン

『近代フランスの自由とナショナリズム』中谷猛

『フランス・イデオロギー』ベルナール=アンリ・レヴィ

『フランスにおけるファシズムの形成-ブーランジスムからフェソーまで-』深澤民司

『現代フランス政治過程の研究』岩木勲

『フランス・ナショナリズム史(1,2)』木下半治

『フランスファシズムの生成-人民戦線とドリオ運動-』D・ヴォルフ

 

『筆と刀-日本の中のもうひとつのフランス(1872-1960)-』クリスチャン・ポラック

『百合と巨筒』クリスチャン・ポラック

『繭と鋼』クリスチャン・ポラック

『陸軍創設史-フランス軍事顧問団の影-』藤原宏

 

『ジャーニュとヴァンヴォ-第一次大戦 西アフリカ植民地兵起用をめぐる二人のフランス人-』小川了

『アフリカを活用する-フランス植民地からみた第一次世界大戦-』平野千果子

 

『エトランジェのフランス史-国民・移民・外国人-』渡辺和行

『共和国か宗教か、それとも-十九世紀フランスの光と闇-』宇野重規

政教分離を問いなおす-EUとムスリムのはざまで-』ルネ・レモン

『自由に生きる-フランスを揺らがすムスリムの女たち-』ルーブナ・メリアンヌ

『シャルリとは誰か?-人種差別と没落する西欧-』エマニュエル・トッド

『移民の時代-フランス人口学者の視点-』フランソワ・エラン

『シャルリ・エブド事件を考える』鹿島茂,関口涼子,堀茂樹

『現代フランスの病理解剖』長部重康

フランス革命省察-「保守主義の父」かく語りき-』エドマンド・バーク

外人部隊日本兵-たった一人の挑戦-』宮下洋一

[ユー島(Île d'Yeu)]フランス・ミリタリー旅行記

第一次大戦における救国の英雄であり、第二次大戦における売国奴でもある、アンリ・フィリップ・ペタン。そんな彼の墓は、大西洋上の小さな島、ユー島にある。

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島への到達手段は2つある。フェリーかヘリだが、一般的な観光客は皆前者を選ぶだろう。船賃は往復で30ユーロ程だったと記憶している。パリから随分と離れた為だろうか。ユー島への観光客は白人ばかりだった。

島北側の港、ポール・ジョワンヴィル(Port Joinville)へ上陸。ホテルに荷物を預け、WIFIを通じて島内の墓地を確認する。幸いにしてペタンの墓があるジョワンヴィル墓地(Cimetiere de Port Joinville)は、ホテルから近かった。徒歩でテクテクと向かう。島内の建物はどれも白で塗りつぶされている。観光案内によると、家々は統一的な外見を保つよう定められているらしい。

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墓地に着くと、墓守の老人に声を掛けられる。

「おい、ペタンか」

「そう、元帥を探している」

「ペタンはあっちだよ」

恐らく観光客がペタンの墓を詣でるのは珍しくないのだろうなぁと感じつつ、墓守に礼を言う。ペタンの墓は、植木で覆われる様にして配置されていた。比較的新しく花がそえられていた様で、墓石も状態が良い。昔、多摩霊園に山本五十六の墓を覗きに行ったことがあるが、山本の隣にあった古賀峯一の墓は相当に荒んでいたと記憶している。他の偉人達に比べて、ペタンは良い待遇を受けている方だろう。

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ユー島住民にとって、ペタンの存在は長年面倒以外の何物でもなかったはずだ。ADMPなどの極右連中が参詣を目的に毎年島へ押し寄せていたし、それに反発するユダヤ人の一団がデモを実施した時期もあった。幸か不幸か、年々と名誉回復運動の勢いは衰えつつある。運動を支えていた老人連中から若者達への代替わりに伴い、その規模も縮小化している様だ。彼等が運営していたHPも、最近ドメインが切れていることを確認した。極右ウォッチャーとしては寂しい限り。

さて。この島には、ペタンの墓以外にも見所はある。暫し一人で海水浴を楽しみ、翌日ピエール・ルヴェ要塞(Le Fort de Pierre Levée)に向かう。ペタンは存命中、この要塞に収監されていた。読書や散歩を楽しんでいた様子が、写真に残されている。残念ながら、観光対象としては展示物が少ないのでお薦めし辛い。期待していたペタンの居住区は現在封鎖されており、観光関係者の寝泊まりの場になっている様子であった。どうせなら公開して貰いたいもの。 

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島北部の市街地に戻る。目当ての大半は行き尽くしたものの、一つだけ心残りの場所があった。その名は「ユー島歴史博物館」。かねがねウォッチしていた極右連中が、ユー島探訪時にペタンの蝋人形やらペタンの遺品が収蔵された部屋の写真をアップしていたのだが、この時点では未だにその場所が掴めていなかった。要塞跡にもそういう展示施設はなかったので、残るはこの「ユー島歴史博物館」しか思い当るところがないのだが、一向に戸が開く様子がない。埒が明かず観光案内所の女性に尋ねても、苦虫を噛み潰した様な表情で「歴史博物館は市が関与しているものではないから難しいですね……魚類博物館のスタッフに連絡すると開くかもしれないですよ」と謎の返答である。言われるがままに魚類博物館へ足を運ぶと、そこも閉館されている始末。諦めて本土に帰ろうかと途方に暮れていると、魚類博物館から一人の老婦人が現れた。これ幸いと拙いフランス語で事情を説明すると、「付いてきなさい」との力強い返事。紆余曲折あり、ようやく歴史博物館の戸が開いた瞬間であった。 

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「ユー島歴史博物館」の中身は、想像以上のものであった。まず初めにユー島に人類が到達した経緯を示す展示があり―――それを越えると、すぐさま凛々しいペタンの蝋人形が出現する。さらに部屋を抜けると、件の極右連中が撮影していた遺品展示室に到着した。室内スピーカーからは、男性のたどたどしい演説が繰り返し流れされている。演説の内容は、ペタンはドゴールと共にフランスを救ったのだという典型的な擁護論のそれであった。演説者は恐らくADMPの関係者だろう。なにせ遺品展示室の片隅で、破損した「ADMP」のネームプレートを発見したのである。この歴史博物館自体、かつて彼等の根拠地であったに違いない。

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その正体が眉を潜めるものであったにしても、展示物自体はウォッチャー泣かせの貴重な数々であった。ペタンが死去して半世紀以上経つが、遺品展示室は時が止まっているかのような印象を受ける。今回の旅行を通して、二番目に胸が高鳴った瞬間であった。もしユー島を訪れる方がいらっしゃれば、ぜひ「ユー島歴史博物館」の来訪をお薦めしたい。運さえ良ければ、きっと開いているはずだろうから。

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