廃兵院工房

おふらんすなど

【C93】イッター城の戦い考察本出します

今年2017年の冬コミに参加します。

5年ほど追い続けてきた「イッターの戦い」に関する考察本を頒布予定です。

現状考えている構成は以下。

 

まえがき

第一章「戦闘概要」

第二章「彼らのその後」

閑話休題「フェルネット・ブランカの味」

第三章「写真解説」

第四章「イッター城の歴史」

第五章「七不思議解明譚」

閑話休題観光協会かく悩む」

第六章「私的イッター村旅行記」

第七章「関連作品」

閑話休題「イッター城伝承」

おわりに

 

ページ数は40くらい、100部ほどオフセットで刷って持ち込みます(絶対在庫抱え込むやつだこれ……)

御興味がある方、3日目東V02bでお会いしましょう。

 

とんかつ弁当とヴェルサイユ宮

 いくらフランスの文化や歴史に興味を持っているといえど、舌は正直だった。

 昨年夏、ボルドーからストラスブールまで横断した時のこと。唐突に日本食が恋しくなった。忘れられない醤油と味噌の味。

 気になり始めると収まらない性分(欲望に弱いともいう)。これはもう食べにゃあならないと店を探した。日本人街に行けば食えるのは当然だが、わざわざモンマルトルの宿から足を運ぶのはやや面倒くさい。検索していると、程なくして宿から徒歩3分の場所に日本人が経営している日本料理屋があることに気付いた。

 期待に胸を膨らませ向かったのは、18番街のサクレール寺院付近に位置するRestaurant Japonais「縁(enishi)」。記憶は曖昧だが、確かてんぷら定食を頂いた。ただただ美味い。店員のフレンドリーさも嬉しい。隣席でフランス人夫婦が枝豆をつまみながらビールを傾けていた光景が印象深く残っている(フランスでも枝豆はEdamame表記だった)。とりあえずビールに枝豆は万国共通か。

 「縁」では弁当も扱っている。ヴェルサイユ宮を訪れようと思い立った日、正午頃に店を訪れとんかつ弁当を作って頂いた。店員の女性からは「予めご連絡頂ければ、お待たせせずにお渡し出来ますよ」との優しいお言葉。RER(郊外高速鉄道)車内で、とんかつ弁当を食べる稀有な体験をした。まさか白飯を抱えてヴェルサイユに突撃する日が来るとは。またパリを訪れる機会があれば「縁」に行きたい。

 

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 余談。その後、自分はオーストリアを経由してギリシアで知人と合流した。聞けば彼は味噌汁の素を自参している。早速ホテルで熱湯を用意して貰おうとしたものの、何故か願いは叶わず。やむなく我々二人はミネラルウォーターのボトルに粉末を注ぎ、振り、飲んだ。冷たい味噌汁の味は忘れられない。

2017年における戦史研究会リスト

■戦史研究会という大学サークルがある。その名の通り軍事や歴史を取り扱う団体だが、活動内容は各大毎に大きく異なる。ボードゲームを楽しむところもあれば、会員による研究発表を行うところもあり、またオリジナルの会報を頒布する団体もある。

■ふと思い立ち、自分が知る限りの戦史研究会をリストアップしてみた。 というのもこの4年間で多くの戦史研究会が新設された。惜しくも会員が集まらず産声を上げることなく流産した団体も含めれば、その数は20を超えている。今後、休会する団体や新規発足する団体もあるだろうが、その際比較や検証を行う上で一つの材料になれば良いと考え、本ページを記す

■以下、自分が把握している限りで、現在活動中の戦史研究会を創立年順に並べる。一人しか所属していない団体や長く活動が途絶えている団体は一覧から除いた。私のチェックミス不足で漏れている戦史研がある場合には、コメントなどでご指摘いただければ幸甚。団体名の横には、会報や機関紙の名前を付した。

 

東京大学戦史研究会(1982年発足。最古):『東京大学戦史研究会会報』

早稲田大学戦史研究会(1994年発足):『烽火』

法政大学戦史研究会(2007年発足):『法戦華』『Modern Military』

立命館大学戦史研究会(2010年発足):『醜の御盾』 

東北大学戦史研究会(2013年発足):『युधेतिहाससूत्रं』(サンスクリット語で「戦史の本」)

中央大学戦記研究会(2013年発足):『白門戦記』 ※名称としては戦史研ではなく戦記研

明治大学戦史研究会(2014年発足):『紫紺』『紫雲』

同志社大学戦史研究会(2014年発足):『Go,go,go in peace』

福岡大学戦史研究会(2014年発足):『東風吹かば』

専修大学戦史研究会(2015年発足):『鳳誌』

日本大学戦史研究会(2015年発足):『羅針盤

近畿大学戦史研究会(2016年発足)

広島大学戦史研究会(2016年発足):『戦鯉』『DE RE MILITARI』(ウェゲティウスの「軍事論」から引用?)

京都大学戦史研究会(2016年発足)

関西学院大学戦史研究会(2016年発足):『戦月紀』

東京農業大学戦史研究会(2016年発足):『東農戦報』

立教大学戦史研究会(2016年発足)

上智大学戦史研究会(2016年発足)

東海大学戦史研究会(2016年発足)

 

※2000年代初頭に京都大学戦史研究会と同志社大学戦史研究会の存在が魚拓で確認されているが、現在の団体との間に連続性はない。

一橋大学戦史研究会がかつて発足していたと思われる痕跡を見掛けたが、その後の変遷は不明。

※2016年に戦史検定という団体が勉強会の目的で「関西太平洋戦史研究会」を設立したが、本ページで取り扱う大学生・院生で構成される戦史研究会と関係はない。

 

・2017年8月21日追記

コミックマーケット92には関東以外の戦史研究会も多数参加していた。2017年9月には東西戦史研究会合同発表会が関ヶ原で開催される。

仏将軍アニメ視聴日誌 プレビュー

一時期精神が錯乱し、こんなものを作りかけていたらしい。

 

 

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[Maurice Gamelin]

仏陸軍将軍。第二次世界大戦初期におけるフランス陸軍総司令官。後世の評判があまりよくない。

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[Maxime Weygand]

仏陸軍将軍。Gamelinの元同僚であり上司。性格が悪い。

 

 

 

1939年某日、Paris 陸軍省……

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f:id:yamamotonohito:20161222025131p:plain ええと、ではウェイガン将軍、貴方の現役復帰願いについては受理しました。今後のご活躍に期待します……ところで、将軍はアニメーションをご覧になったことはありますか

f:id:yamamotonohito:20161222025127p:plain は?

f:id:yamamotonohito:20161222025127p:plain いや、この目で見たことはない。孫がアメリカ製のアニメーションの話をしているのは聞いたことはあるが、それがどうした

f:id:yamamotonohito:20161222025131p:plain 実は某国で作製されたそれを、我が国でも1クールのプロパガンダ映画として公開することになり、陸軍省からその検閲を依頼されておりまして

f:id:yamamotonohito:20161222025127p:plain はぁ、そうか(1クールってなんだよ……)

f:id:yamamotonohito:20161222025131p:plain それで、私もそのアニメーションとやらには詳しくないので、もしよければこの後の上映会に同席願えませんか

 

 

f:id:yamamotonohito:20161222025127p:plain ……

f:id:yamamotonohito:20161222025127p:plain いや、別に構わんけれども

 

f:id:yamamotonohito:20161222025131p:plain ありがたや。まったく、三軍の総司令官もこんなことをせにゃあならんのですから世知辛いものですわい

f:id:yamamotonohito:20161222025127p:plain ところでそのアニメーションの名前はなんていうのか

f:id:yamamotonohito:20161222025131p:plain 最後の……、確か、最後の魔女とかいうものだったような

f:id:yamamotonohito:20161222025131p:plain あいや違った。そうだ、「終末の魔女イゼッタ」でした、これは失敬

f:id:yamamotonohito:20161222025127p:plain イゼッタ、ねぇ。フランス人の名前じゃないなそりゃ

f:id:yamamotonohito:20161222025127p:plain 観る前に文句をつけて申し訳ないが、我が国で放映するならぜひ名前を変えるべきだよ、イヴォンヌとかにしたまえ。そういう悪い響きをしていると、国を憂う国士に劇場を焼き討ちされかねんよ。最近ほら、いろいろ危ないし

f:id:yamamotonohito:20161222025131p:plain えっ。貴殿だってベルギーのご出身じゃあありませんか

f:id:yamamotonohito:20161222025127p:plain んん”” 何か言ったか? 最近耳が遠くてな

f:id:yamamotonohito:20161222025131p:plain …………まぁ、観ましょう。はい

 

(キュルキュル)

(ガーッ ペッ)

 

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f:id:yamamotonohito:20161222025127p:plain なんかさっそく小汚いゲルマン語が目に入った気がするんだが、ワシの見間違いかね

f:id:yamamotonohito:20161222025131p:plain いや、ゲルマン系の国家が舞台なので間違いじゃあありませんよ

f:id:yamamotonohito:20161222025127p:plain ふざけるな。君はゲルマン人が我々をボッコボコにするアニメーションを座して観ろというのか。なぜ史実で散々負けたのにアニメでまで死体蹴りされなきゃあならんのだ。ワシは帰るぞ。そもそもお前があんな指揮をしていなければだな

f:id:yamamotonohito:20161222025131p:plain ちょ、ちょっと! そんなカッカしないで下さいよ!  違うんですって。舞台となる「エイルシュタット公国」はリヒテンシュタインを模した小国なんですが、この国がドイツに似せられた仮想国家と戦うんです。敵は我々じゃありません

f:id:yamamotonohito:20161222025127p:plain ほんとう?

f:id:yamamotonohito:20161222025131p:plain ほんとですほんと

f:id:yamamotonohito:20161222025127p:plain 分かった、続けたまえ(手をヒラヒラ)

 

(このあとひたすらオッサンがダグダする文章を書き連ねていたが、もちろんつづかない)

 

 

「イッター城の戦い」映画化について

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 第二次大戦においてアメリカ軍とドイツ軍が共闘した奇妙な戦闘、イッター城の戦いを題材とした「The Last Battle」の映画化が進行しつつある。昨年初頭に原作の著者がフェイスブックで映画化を報告し、海外映画情報サイトで少し触れられたきり全く音沙汰がないのでどうなったものかと心配していたが、ようやく着手され始めたらしい。今年1月に入って続報が報じられている。

 当初は2017年米国公開の予定だったが、2018年に先延ばしになった。制作会社はStudioCanal。微妙な方の潜水艦映画「U-571」を作った会社らしく、やや不安に襲われる。監督はPeter Landesman。昨年公開された「コンカッション」の監督であり、過去には金獅子賞を受賞している。まだ配役さえ発表されていないので、本当に完成まで辿り着けるのかどうか不明だが、日本公開も待ち望みたいところ。

 ところで一つ気になるのが舞台設定をどうするのかである。イッター城自体は現存しているが、現在は個人所有であるし所有者家族が自宅として利用しているため、とても撮影には利用できないと思われる。となると他の適当な城で代用するつもりなんだろうか。ともあれ、ガムランレイノーがドイツ製短機関銃を振りまわす描写をスクリーンで観られる日を期待期待。

 個人的な話で恐縮だが、昨年夏にイッター村を訪れ、イッター城の城主氏と話す機会があった。城主氏経由で貴重な写真も手に入れることが出来た。その辺の話をまとめて、どこかで頒布したいなぁなどと思っている。

 

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 ※昨年末に落札したイッター城を象ったメダル。1960年代頃、城がホテルとして運営されていた時代に結婚式が行われていたらしく、その際配布されたものではないかと推測。こういう記念品はオーストリアでは割とある文化なんだろうか。偶然だが私が初めてイッター村を訪れた日も、ちょうど城近くの教会で結婚式が行われていた。村民総出で祝うので、非常に活気に満ちた光景だった。

ジャップがアクションフランセーズの通販を利用した件について

 アクションフランセーズをご存知か。このページを読まれている方も歴史教科書で習っただろう、あのドレフィス事件を機に発足した組織である。仏現代史をほんの少しかじった人間としてはまぁ存在自体は知っていたのだが、昨年何気なくツイッターを開いていると、アクションフランセーズの公式アカウントを発見してしまった。それもフォロワー数が7000を超えているなかなかの大手アカウントである。すぐフォローしてウォッチを開始した。

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ツイッターアカウント)

 この組織の面白い点といえば、まず今のフランスでは相当珍しいだろう王政復古を主張していることだろう。ルイに繋がる名跡のブルボン家やコルシカ出身のボナパルトさんではなく、オルレアン家の家長を現正統な王として掲げている。同組織が発足した100年前でも王政復古は無理があると反発があったというのに、この現代に「国王陛下万歳」と真顔で唱えているのだ。面白いとしか言いようがない。

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オルレアン家現家長にしてパリ伯アンリ7世)

 調べてみると数十人でドラムを叩きながら、国王万歳と唱えつつパリ市内を行進する動画をYoutubeで発見した。構成員は我々が脳裏に浮かべるようなネオナチ崩れのスキンヘッド集団ではなく、年端もいかぬ少年少女から足取りのおぼつかない老人までいる。日本の極右団体に比べて、何気に年齢・性別が豊かであった。

 さて、アクションフランセーズをウォッチしている内に、同団体のグッズを通販で購入できることを知った。旗、Tシャツ、バッジ、ネクタイにZIPPOとなかなか種類豊富。加えてセンスが良い。同じく極右と目されるフランス国民戦線に比べて、グッズの質の点では、間違いなくアクションフランセーズが勝っていると感じた。

 となれば欲しくなるのがウォッチャーである。日本発送の可否を尋ねると、いくら待っても返信がない。仕方がないので代行業者を利用することにして注文発送を終えると、宛名を間違えるという大ポカをしてしまった。これについては完全に私が悪い。だが、いくら宛名の訂正依頼メールを出しても全く返信をしない、というのは無愛想極まるのではないか。おじさんは憤慨した。代行業者氏も困惑した。ジャップ相手だから舐めているのではないかとも疑った。

 とはいえ着くには着いたのである。配達会社のお兄さんと代行業者氏が奮闘してくれたらしい。日本に到着したのは、ちょうど昨日(2017/3/11)のことだった。嬉々として開封する。すると注文した9点の内の2品が欠けていることに気付いた(フルールドリスのネクタイピンとフルールドリスのバッジが失われてしまった)。……まぁ損失額は20ユーロぐらいだから、もう一々やり取りするのが面倒極まりないし、連絡しなくて良いかなぁという気になっている。この20ユーロは日本人からフランス王党派への寄付である。ぜひ王政復古を成就してほしい。極東の島国から祈っています。あっ、その前に取り合えず顧客対応を改善してください。本当に星1を連打したかった。

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(ネクタイとバッジが届きました)

 ところでアクションフランセーズにとって参考にすべき「王制国家」の一つとして、機関紙の中で日本が具体的に示唆されている。国民戦線のルペン党首(娘さんの方でなく親父さんの方)が訪日した際、一水会と共に靖国神社を参拝した話は割と有名だけれど、フランス極右連中の理想像が日本というのは面白いところではないだろうか。

モーリス・ガムランの回想録を追い求めて

第二次世界大戦で仏軍の総司令官を務めたモーリス・ガムラン(Maurice Gamelin)の名前は、一応本邦でも知られている。あまり良い評価ではないけれど。彼の名前がネットで引っ掛かるようになったキッカケは、やはりHeart of Iron辺りなんだろうか。どうも彼への評は手厳しい、というか怪しい文献をもとに語っているような感が否めない。ナポレオン一世が率いた時代と違って、1940年の戦争は彼一人で軍隊を動かせるものではなかったことを考慮して、もう少し真っ当な評をしてやりたいものとは個人的に思う。

さておき。敗戦の責任をとって軍籍を退いたガムランは、ヴィシー政権が成立すると「戦争への備えを怠った」という罪状で逮捕される。有名なリオム裁判の後に、彼は各地の収容所を転々とし、最終的に旧オーストリア(当時はドイツ領オストマルク)の北チロルに位置するイッター城に収容された。終戦直前には、武装親衛隊によって抹殺されかけるも、米軍と独国防軍の小部隊と共に抵抗してこれを撃退、無事祖国フランスへ凱旋する。そしてパリの自宅で引退生活を送ることになった彼は、回想録の執筆に挑んだ。これが全3巻で構成されるplon社発行の「Servir」である。

一昨年頃から読みたいと思って探していたものの、先日ある事実に気付いた。どうも仏語以外に伊語訳しか見当たらない。あまり本国での売れ行きが芳しくなかったためか、英訳版が出版されていない様子なのだ。ということで勿論、日本語訳もない。

……つい昨日まで私はそう考えていた。しかし事実は違った。ツイッターで「ガムランの自伝が読みたい、誰か訳してくれ」と意味もない愚痴を呟いていると、見知らぬ御仁が引用RTで「『フランス解放戦争史(著、柏木明)』の参考文献に、陸自が訳したガムランの自伝が載っていた」と知らせてくれたのである。まさか、と思って図書館へ走ってページを捲ると、確かに自衛隊幕僚監部の訳本として「Gamelin将軍回想録」なるものが挙げられている。「Servir」の訳本に違いあるまい。

しかし一般にはもちろん出回っていない。であるならば、と防衛省図書館に電話をかけて内部検索していただいたものの、申し訳なさそうに「検索に出ないですね、申し訳ない」と謝られてしまう。いったいどこにいったんだ。万事休す。コツコツ古本検索していくかと諦め顔をしていると、またツイッターに助けられた。相互フォローの某人曰く、靖国偕行文庫にあるとのこと。慌てて偕行文庫のHPで内部検索すると、確かにヒットした。「Gamelin将軍回想録・戦争の序曲時代 1930-1939.8」なるタイトルである。ようやく、ようやく拝める日が来るとは。明日早速靖国へ出かけようと思う。ということで各位、ガムランの回想録の訳本は靖国にあるぞ。一般も閲覧可だという。

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