廃兵院工房

おふらんすなど

とんかつ弁当とヴェルサイユ宮

 いくらフランスの文化や歴史に興味を持っているといえど、舌は正直だった。

 昨年夏、ボルドーからストラスブールまで横断した時のこと。唐突に日本食が恋しくなった。忘れられない醤油と味噌の味。

 気になり始めると収まらない性分(欲望に弱いともいう)。これはもう食べにゃあならないと店を探した。日本人街に行けば食えるのは当然だが、わざわざモンマルトルの宿から足を運ぶのはやや面倒くさい。検索していると、程なくして宿から徒歩3分の場所に日本人が経営している日本料理屋があることに気付いた。

 期待に胸を膨らませ向かったのは、18番街のサクレール寺院付近に位置するRestaurant Japonais「縁(enishi)」。記憶は曖昧だが、確かてんぷら定食を頂いた。ただただ美味い。店員のフレンドリーさも嬉しい。隣席でフランス人夫婦が枝豆をつまみながらビールを傾けていた光景が印象深く残っている(フランスでも枝豆はEdamame表記だった)。とりあえずビールに枝豆は万国共通か。

 「縁」では弁当も扱っている。ヴェルサイユ宮を訪れようと思い立った日、正午頃に店を訪れとんかつ弁当を作って頂いた。店員の女性からは「予めご連絡頂ければ、お待たせせずにお渡し出来ますよ」との優しいお言葉。RER(郊外高速鉄道)車内で、とんかつ弁当を食べる稀有な体験をした。まさか白飯を抱えてヴェルサイユに突撃する日が来るとは。またパリを訪れる機会があれば「縁」に行きたい。

 

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 余談。その後、自分はオーストリアを経由してギリシアで知人と合流した。聞けば彼は味噌汁の素を自参している。早速ホテルで熱湯を用意して貰おうとしたものの、何故か願いは叶わず。やむなく我々二人はミネラルウォーターのボトルに粉末を注ぎ、振り、飲んだ。冷たい味噌汁の味は忘れられない。