廃兵院工房

旅行の思い出とか呟きます。昼からビールを飲める仕事につきたい

海外は本当にマスクをしていないのか

もう一生分つけた気もするマスクだが、日本では3月13日から着用ルールが大幅に緩和されるという。そもそもマスクって政府が国民に課した義務じゃないでしょう。なのになんで政府が時期まで示すんだ。そんな反感も抱くが、まあ、国が一律でルールを示した方が国民同士のトラブルも少なそうだし、一つの答えなんだろうと自分を納得させる。

さて、巷でよく言われるのが「世界でマスクをつけているのはもう日本だけ」という文句。確かにニュースを見ると、欧米でマスクをしている人は映らない。ヨーロッパ旅行ではその辺りの実態はどうなのか気になっていたのだが、結論から言うと、フランス全然つけてねぇ。ドイツはちょこちょこつけているという感じ。短期滞在なのでサンプル数は少ないけど。

まず驚いたのが出発時。羽田空港エールフランスの機内に乗り込むと、添乗員が誰もマスクしていない。まだ日本国内なのに、この時点でヨーロッパの息吹がガンガン伝わってくる。

空港内では律義にマスクをつけていたフランス人たちも機内に入った途端、俊敏に外す。じゃあ、私も……と後に続きたかったが、横に日本人高齢男性が座っており、マスクを外す気配が全くない。脳裏に尾身会長の「不特定多数の人が密になる場合はマスク着用を」という呼びかけがよぎる。マスクをするのは自分のためだけじゃなくて、高リスク者に配慮する意味もあるんだよな。うーん、じゃあつけとくか……。

で、行きの機内ではマスクをつけ続けていたのだが、シャルル・ドゴール空港に降りると、もう誰もマスクをしていない。まるでコロナ流行前の世界に迷い込んだかのような錯覚を覚える。同じ感想を抱いたのか、空港内で他の日本人がマスクをポケットにしまい込む場面を目撃した。確かにこの圧倒的な非マスク率の中であえてマスクをしていたら、逆に警戒されそうな感じもする。

これ幸いとマスクを捨て街に繰り出す(一応妻が欧州基準のサージカルマスクを購入してくれていたが)。街中で誰もマスクをしていないから、ノーマスクでも咎められる気配は全くない。日本で飲食店に入る直前にポケットからマスクを取り出し、席で注文を終えるまでマスクをつけ続ける…あの杓子定規な工程が発生しないというのは、結構楽なもんです。

とはいえ、である。データを見ると、フランスでは依然コロナ患者が1日数千人単位で発生している。検査を受けていない人の存在を考えると実態は何倍もいるだろう。パリ市内でメトロに乗り込むと、車内に必ずせきこんでいる人がいるが、当然のごとくノーマスク。周囲も気にしている様子はあまりない。こちらはそこまで“達観”できていないので、ちょっと警戒してしまう。

一方、ベルリンでは屋内外でたまーにマスクをしている人を見かけた。日本に比べると50分の1ぐらいの遭遇率なんだが、それでもノーマスク天国のパリに比べると目立つ。ホームではマスクを外しているが、電車内に乗り込むと同時にマスクをつけるという人もいる。マスク着用者は高齢者が多い印象。自衛のためにつけているのかしら。

ベルリンの街を散策していると「入店時はマスクを!」と注意書きをしている店を発見した。ただ、店内をのぞき込むと店員でさえマスクをしていない様子だったから、もう形骸化したルールなんだろう。

帰国時、エールフランスの機内で「空港内ではマスク着用をお願いします」とのアナウンスが流れた。マスクをつける。3年の付き合いになるものだから、すぐに肌に馴染んでしまうのが嫌だ。ただいまコロナ。もうお別れしたいよ君とは。

3月13日まで残り2週間ちょっと。日本はどんな風に脱マスクの時を迎えるのだろうか。不安と期待が入り混じる。