廃兵院工房

旅行の思い出とか呟きます。昼からビールを飲める仕事につきたい

フランスでは「フェイクニュース」はご法度?

オペラ座ヴァンドーム広場を覗こうとパリ2区を散策していたら、偶然AFPの本社を見つけた。ロイター、APと並ぶ世界三大通信社の一角に位置するAFP。ちなみにこの御三家の中でAFPは最古らしい。へぇここがあの、と感慨深く眺めていたら、突然、妻が「何これ」と地面を指差した。

白いチョークのようなもので書かれていた文章は〝AGENCE FAKE PRESS〟。往来がそう少なくない道で、堂々とこんな落書きをしたのは一体誰なんだろうか。

当のAFPの記事によると、フランス語の保護・改善について提言する仏政府傘下の関係機関が2018年に〝Fake news〟は英語だから使用をやめてと呼びかけたらしい。代わりに〝Information Fallacieuse(誤った情報)〟と呼んでほしいという。そもそも、フランス語ではPressではなくPresseだ。となれば、この落書きも〝AGENCE FALLACIEUSE PRESSE〟と書くのが正解か?

こうした自言語保護の熱心さにはフランス特有のプライドの高さを感じる。とはいえ、今やパリ市内にある大抵の観光施設のスタッフは英語を話せるのが実情で、かつて耳にした「フランス語を話さないと店員が不機嫌になる」という光景はほぼ見かけない(内心どう思っているかは知らないけれど)。落書きにもアングロサクソン語の浸透を許してしまったのは、フランスのソフトパワーの衰えか―。